スペインの水道屋(フォンタネーロ)さん
2008年 02月 03日
温水暖房の記事とコメントから思い出した事が幾つかあるので、今回はその「続き1」という事で(…つまり「続き2」もあると、暗に示唆している?)…先ずは「壁の中の配管」という話から思い出した、スペインの配管業者-フォンタネーロ(fontanero)と言います-のお話。日本の水道屋さんと重なるところが多い職業だと思うので、以下水道屋さんと言う。

f0073246_17483725.jpg先ず、温水による集中暖房が、何故日本では普及しないのか? その理由のひとつは、壁の構造にあるんじゃないか? という事を書きましたが、じゃスペインの壁って、どういう構造? と思った方…  こんなです…→

これは内壁。これを更に石膏で固めて、その上に塗料を塗って仕上げる訳ですが、このレンガは「レンガ造りの家」でも書いたように、日本で良く見かけるレンガ・タイル(?)のようなものとは全然違い、多分低温度の素焼き。外壁用のレンガとも違っていて…もっと簡素で低価格?…そういえば以前、近所の百円ショップのガーデニング用品のところで、似たようなのを見かけたっけ…(・・?
ちなみに外壁に使われるのは、例えばこういうの。a0072316_13275626.jpg
この外壁レンガは多分、内壁用のものより固く焼き上げられていて、値段も大分違うんでは? と思う。日本で今、「輸入レンガの家」などと言って(?)売られているのに近い質感??
ひと口にレンガと言っても、色々あるのです。

で話は戻って、上のような壁に水道や給湯、更には温水暖房の配管が通ってる訳ですが…
つまり、こういう風にレンガを積み上げた内壁の上に配管して、一緒に(?)石膏で固めちゃってる? そして更に上から塗料(漆喰系が多い)やタイル(台所や浴室)、壁紙などで表面を仕上げる訳ですね。

スペインで最初に住んだ家(…という事は、1980年頃の話…)では、アメリカ人留学生の女性(当時30代半ばだったか…ふと考えてみると、名前忘れてしまってるゾ…(・・;)…以下米女と略す事にする…)が家主と契約を交わして、それを他の2人(内1人=me)とシェアしていた。この米女、いつもスペインとアメリカを比較し、何でも自分のやり方がいいと思ってるところがあって、フラット・メイトとしては今イチ。ま、こっちも初めて親元を離れ、又初めての外国暮らしで、色々未熟でトンチンカンなところもあったと思いますが…それやこれやで、その家には3ヶ月位しか住まなかった。その短い期間の或る日、米女が「浴室と廊下の間の壁に湿気のしみみたいなのが出てる。心配だ…」と言い出した。

当時はスペインの家どころか、日本の家の作りについてもノー・アイデア。言ってみればそんな事、それまでの人生で気にした事もなかった訳で…でも「へ~そ~」位は言ったかと思う…(・・?

米女が言うには、「何か配管のトラブルじゃないだろうか…もしそうだったら、誰に修理を頼んだらいいのか…スペインの水道屋なんて全然当てにならないし…どうしたらいいんだろう…」

こっちは配管がそんな所を通っている事さえ知らなかった。日本の家だって、何か問題があった時には親が処理してた訳で、そんな私に相談されてもね~…(・・ゞ

で数日後、彼女、遂に決心したらしく、管理人の紹介だという水道屋がやって来たのですが…

浴室と廊下の間の壁の、しみが日に日に大きくなっていたあたりを廊下側から壊して行くと、問題の配管が出て来て、最後はそれに穴が開いていた部分に行き当たった。

でもそれって、どういう事かと言うとですね。今までは壁のレンガや石膏にジワジワと染み出していた水が、廊下に向けて、細いながらも勢いよく噴出す事にっ!(@@;)

大急ぎで元栓を閉めて戻って来た水道屋のアンちゃん、そこで「今日の仕事はもう終り。後は明日…」って…まあ夕方だったし、修理に必要な材料とか揃えなきゃいけないので出直し…って事も、考えられなくはないけれど、それならそれで、そんな中途半端な時間に始めなきゃいいじゃない?

でそれはどういう事かと言うとですね、その部分に通じる水道の元栓を閉めたままにして置かなくてはいけないという事で…

「えぇっ? それじゃ今晩はシャワー使えないの?」と聞いた私にアンちゃん、「栓を開ければ廊下でシャワーが浴びれるぜ」…っとか、不敵な(?)冗談を言ったのだった…041.gif

米女曰く、「仕事を途中で放り出して帰るなんて、こんな事、スペインじゃなきゃ起こらない。誰に頼んだらいいか分からないから、管理人に相談したんだけど、あれは水道屋が管理人にコミッションか何かやって、仕事を回させてるに違いない。ほんとにタチの悪い管理人なんだから…」って…知ってて相談するあなたも悪いでしょうが…とは言うものの、外国で何かあると、どこのどの業者に頼んだらいいか分からないってのはありますね。…自分の国でもよく分からんか…!?

米女は管理人と水道屋の悪口を散々言い、未熟な日本人のフラット・メイトは、「もう少しあのまま様子を見てても良かったんじゃなかろうか? そうすれば今晩はシャワー使えたのに…」などと呑気な事を、内心思っっていたかも…です…(・・ゞ

でもその水道屋さん、翌日(?)戻って来て、一応直してくれました。米女、今度は「この修理代、大家に請求しなきゃいけないけど、きっとナンタラカンタラ言って払おうとしないのよね、全くウンザリするわ、この国…」と言っておりましたが。

その後、自分でも水道屋と付き合わなきゃいけない場面や、大家と交渉しなくてはいけない場面に何度か行き当たったが、まあ水道屋(或いはその他の業者、職人)、そして管理人や大家も、ピンからキリまで色々あります。日本と違って不動産屋が中に入らない、つまり直接交渉が多い分、それに慣れてない日本人にとっては厄介で、そしてうまく行かない事もあるけれど、結論としては「郷に入れば郷に従え」、その国に住むからには、その国の一般的なやり方をマスターするっきゃないのです。

話が逸れてしまいましたが、要はこういうシステムなら、多分かなり自在に配管を通す事ができ、しかもトラブルがあった時には、壁の一部を壊して修理し、その上から又石膏を塗って壁を作る。そして時期を見て、壁全体を塗り直せばいい、のです。
上の写真の壁は薄っぺらい内壁ですが、外壁部分や戸境などでは、多分その外壁の内側に内壁があったり、内壁レンガが二重になっているかも…でもし、そういうところを温水暖房の配管が通っているのだとしたら、断熱効果も暖房効率も高まる気がしません? それに、これは一度センモンカの方に聞いてみたいのですが、レンガや石膏って、木やコンクリよりも熱伝導率というのが低い、つまり断熱効果が高い気がしてるのですが、どうでせう?

ちなみに下の写真は、配管ではないですが、天井に新しく照明器具を付ける為に電気の配線工事をして貰った時の、その跡。a0072316_11551262.jpg電気屋さんと albañil (アと呼ばれる職人さん-辞書などには「左官屋」と出てますが、日本の左官屋さんとはかなり違う部分もある気がするので、以下スペイン語のまま)がやって来て、先ず電気屋さん(electricista-これは日本とほぼ同じ?)が、部屋の隅等にある配線ポイント(caja de electricidad)や、他のコンセント、照明器具などの位置から、部屋の配線ルートを想像し、新しく工事したい場所に向けて、どこからどのように配線するかを考える。そして albañil のオッちゃんに、壁のどことどこを壊せと指示する。壊した穴から穴へ配線をめぐらして、照明を取り付け終わったら又 albañil のオッちゃんの出番で、壊した所を石膏で埋めて均す…というような手順。
壁の部分は多分レンガと石膏が主体で、色んな隙間があるらしく(?)、ところどころ穴を開けただけで電線を通せたのですが、天井の部分はさすがに、セメントでガッチリ固められていて、壁から灯具のあるところまで、その上塗りの石膏を、配線に沿ってずっと壊した跡が見えますか? あの中に、配線パイプ(?)を埋めたのです。

上の水道屋さん、そういう albañil の仕事もやってくれた訳で、今から考えると、そう悪い人でもなかった?? …とも思うのだけど…(・・??? 

日本より古い家が多いという事は、当然水漏れその他の事故も多い訳で、考えてみると、20年以上に渡るスペイン滞在中に住んだ、そのどの家でも、必ず一度は水難に遭遇している?
中でも最大の水難事故については、≪フラッシュバック・スペイン≫の「7.終の棲家?」のこの辺に出て来ますので、興味のある方はどうぞ。

という訳で、スペインに一定期間住もうと思ったら、fontanero という単語は必須です。001.gif
2,3日家を留守にする時は必ず水の元栓を閉めて行くという人もいた。
未熟だった日本人も、数年後には、新しい家に引っ越したら水の元栓の位置を確認するようになった。イザって時にすぐ閉められるようにね…041.gif
家(フラット)全体に水(&お湯)を配給している元栓の他に、普通は浴室などに、その部分だけの元栓がある。

で今の日本のマンションに来た時にも、クセで(?)確認しようとしたのですが…
…洗面所の下にはそれと思しきものがあるけれど、台所の流しの下には見つからへん…
…トイレの水もお風呂の水も、そして洗濯機の水も、一体どっから来てるんだか…
…日本の家の配管って、ど~なってるの???



日本より古い建物や家の多いヨーロッパ、こういう家の設備に関する事故や修理にまつわるトラブルは、まあ宿命のようなものですね。でもブログなどで、「こっちの家って、どうしてこんなにヒドイの?」「日本だったら考えられないでしょ?」「そうなる前に修理するのが常識では?」というような意見を見かけると、「…それはね、日本の家は、古くなるまで持たないから、色んなトラブルが起こる前に家自体がダメになっちゃうのサ」…と言いたくなる(「200年持つ家」)。

ところで日本の今の家の壁って、何で出来てる?というような記事を前に書きましたが(「3びきの子ブタの家」)、今朝たまたまテレビで、日本の伝統的な民家の土壁と思われるものを、左官屋さんが上塗りしてるところが出て来た。壁の中、レンガではなかったけれど、かなりしっかり出来てるように見え、その上に塗ってた灰色のものも結構厚みがあり、もしかして「伝統的な日本建築」の家の壁なら、温水暖房の配管を通すのにも向いてたかも? などと思ったのですが…(・・???

でも「他の暖房システムよりも長持ちする」と書いた温水暖房のラジエーターだって、いつかは壊れる事だってある訳で、そのエピソードもあるのですが、それは「続き2」で…?
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by peque-es | 2008-02-03 18:27 | スペイン:人、物、言葉…
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