本当においしいパンの定義
2007年 07月 28日
スペイン風ミックスサラダの記事で aoi さんから「スペインではパンに何をつけて食べますか?」という質問を頂きました。(ちなみに、その時 aoi さんが書いていたパンの記事はこちら)。

で、この際、前から書こうと思っていた「本当においしいパンの定義」っていうのを書く事にしました。その定義は、コメントの返事にも書いたように、「何もつけなくてもおいしいパン」というのですが…

…先ず、スペインで普段食事の時に食べるのは、こういうパン。日本ではバゲットとか、昔は(?)フランス・パンと言われてたタイプ。スペインでは amigoplaza さんの記事にあるように、ピストラ(pistola、ピストルのことです)とか、pan de barra (棒のパン)と言う。
スペインではこういうパンを切り分けて、普通食事の時には、何もつけないで食べます。日本でおかずの合間に白いご飯を食べるような感じ。毎日、その日食べる分を買って来る、つまり焼きたてを買って食べるのが原則で、だから通常の店は閉まってる日曜にも、パン屋さんだけはメインの食事である昼頃までは開いてる事が多い。そしてもしかしたら、パン屋さんは日本のお豆腐屋さんみたいに、スペインで一番早起きな職業かもしれない?と思う。

初めて行った頃のスペインには大家族が多かったので、昼前のパン屋さんに行くと、この棒パンを2本、3本と買って行く人も多かった。一方で1人暮らしの人などは「棒半分(media barra)頂戴」と言うと、長いパンを半分に切って売ってくれたりもしたのです。(その辺の事は≪フラッシュバック・スペイン≫の「6.お店の人」にも書いているので、興味のある方はどうそ。)

でスペイン人のパンの食べ方を学んだ者としては、日本でスペインふうの料理を作ったりすると、それを試食する人にも「パンには何もつけないで、日本のご飯のような感じで食べる」というのを強要(?)していたのですが…

…どうもそれじゃ、食べさせられる方に欲求不満が残るようなのですね…「え~と…バターかマーガリン、ある?」とか、言われてしまう…
…確かに日本のレストランじゃ、パンには必ずバターが付いて来るし…
そういえばスペインだって、朝食のトーストにはバターとジャムなんてつける訳だし…高めのレストランだと好みでバターをつけられるように置いてある事もあるし…でも、それでもつけないで食べる人も多いし…フレンチの本場パリでも、お昼の定食にバターは付いてこなかったゾ…??

…などなど考えておりましたが、ある時ふと、「そういえば日本のバゲットは、スペインの棒パンほどおいしくないではないかっ!」という事に思い当たったのだった。

スペインふうの手料理を引き立てる(?)ために、バゲットを焼いてるパン屋さんをあちこち捜し、そして食べる直前に買って来ても、どうも感じが違うのです。

その一: 日本のバゲットは一般に、なんか皮だけが妙に硬くて、噛み切れないんスが…
その二: そのクセ中味は、妙にフニャフニャで、存在感に薄いんスが…

その結果、出来立ての筈なのに、再度トーストしないと食べにくかったりする事も…

スペインやフランスのバゲットは、一見日本のより硬いのだけど…でも、噛み切れる!! 中はフニャフニャでなく、もっと詰まった感じがして、そして何もつけなくてもおいしい!

そう! パンに何もつけないで食べるのは、何もつけなくてもおいしいパンだからなのだ…っという事に気がついたのであります。

でもこの差って何? 一体どこが違って、何もつけなくてもおいしいパンと、フニャフニャなのに噛み切れないパンになるのでせう?? 
原料の小麦粉が違う? それともこね方? こねたあとの焼き方? 焼きあがったあとの環境…つまり空気中の湿度?…などなど、色々理由を考えてはみるのだけれど、例によってまともに調べるという事はしておりません…(・・;)

ただヒタスラ想像力(?)を駆使するのみで…でもかなり確信を持ってる(?)のは、日本のパンは「膨らませ過ぎ」なのではないか?という事です。
その証拠に、余ったバゲットを袋に入れて、冷蔵庫などで保存すると、数日で体積が半分以下になっちゃうんもんね…

パンはその日のものを食べるのが原則のスペインでも、必ずしもその日に、計算通りに食べきれる訳ではない。昼、夜と食べて余ったパンは、まあ翌朝の朝食でトーストしたりして食べ切れれば理想なのですが、もっとずっと古くなってしまったらどうするか? トリッハ(torrija-s)のようなお菓子にしたり(いつもチャレンジ精神旺盛な MICAN さんの記事をご参考に)、その他の料理に使ったり、パン粉にしたり…色々な知恵がある。でそうやって置いておいても、日本のバゲットみたいに縮んじゃわない気がするんスが…



a0072316_2341421.jpgちなみにこれは、近所では一番人気の、フランス風(?)パン屋さんのパンなのだけど…見て! パンの中にポッカリと開いた、この大きな穴→
こういう穴はスペインのパンには開いてなかったゾ…と思う。

日本じゃ食パンなども、なんか「ふわふわ~っ」ていうのが人気なようなのですが…
あれって、ほんとにおいしいっていうのと違うんじゃないだろか??
ちなみに朝食はパンなのですが、食パンではなく、この写真のようなフランス・パンを買って来て、切り分けて保存してあるのを、食べる前にトーストする。

それにしても、日本にパンという言葉が伝わって、もう5世紀くらいも経つんじゃないでしょか?
つまりパンは、明治以降、或いは戦後に、英米を中心とする文化圏から伝わったものではなく、15世紀の終わり頃にやって来た南蛮人が伝えた筈。だからブレッドじゃなくてパンって言うんじゃなかった? そうなのだ、「パン」は実は、スペイン語でもあるのだ。

だからそろそろ日本にも、本当においしいパンが定着してもいいんじゃないだろうか? と思うんだけど。

尚、「スペインの主食」のコメントで、cazorla さんから、「子供がおかずだけを食べてパンを食べないと叱られる」、食事の時にパンを食べるのは「教育の一環」というのがありました。
それから 、amigoplaza さんの記事にあるように、パンをピストルと呼ぶのは、それが「飢えを殺す」つまり「空腹感を凌ぐ」のに最適、腹持ちがいい食べ物だからでしょうか? 現に、スーパーのレジに着く前に、待ちきれない子供が先っぽを食べちゃったりとか…大人でも、パン屋さんで買ったばかりのパンをかじりながら歩いてる人、なんてのもいたりして…勿論何にもつけずに、そのまま…本当においしいパンは、それだけでおいしいんだから…というのが、今日の結論。
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by peque-es | 2007-07-28 20:07 | スペインふう家庭料理
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