「和洋折衷」の落とし罠
2007年 03月 16日
≪地中海と砂漠のあいだ≫、エルサレムにお住まいのちからくさんが「カルチャー・ギャップ」という記事を書かれた時、偶然書きかけていた記事なのですが、その後風邪でダウンしたもので…遅ればせながら敗者復活戦!? らくさんの言わんとした事とは、もしかするとずれているかもしれませんが…

風邪が爆発する前のかったるい週、ダラダラと朝のテレビを見ていたら、和服の着こなしとか、着物を着た時の立ち居振る舞いなんていう話をしていたのだけど…

ひとことで言うと、着物を着て何かをしようとしたら、こうした方が理にかなっているという事を、いかに自然にやるか…みたいな感じ。何々流などという大袈裟なのではなくて、ごく常識的な「お作法」。

例えば、着物を着て座るには、着物の前を少し持ち上げるようにしてから座ると、座った時に膝で引っ張られても余裕があるので楽です…フム、ナルホド…というような感じのお話でした。

だけど、そのごく当たり前みたいな事が、普段の生活ではもう経験できなくなってるんですね、今の日本…

…で思ったのですが、日本人には日本人のお辞儀の仕方とか、人との接し方とか、ご飯の食べ方とか、それなりの作法があって、それは本来、古臭くてシチメンドクサイだけの決まり事じゃなくて、和風建築の家で着物を着て生活する上では、それぞれ、かなり理にかなった所作だったのじゃないだろうか?

ところが生活が洋風化して、着物を着たり、正座したりする機会が少なくなったら、それと密接に繋がっていた日本風の作法が、一見意味がなくなってしまったというか…意味が見えにくくなってしまった?

で、そういうシチメンドクサイ決まり事については、伝えられなくなってしまった?
勿論家庭によって違うでしょうが、少なくともうちでは余り教えられなかったし、テレビに出て来た「生徒」さんたちも、「初めて聞く」…みたいな感じだった。

でも一方、洋風の生活って言っても、その本質的なことを伝えられるほどの知識、日本人には未だないよね?
洋服だって高々この100年位の歴史しかない訳で、一方では世界のブランド品があふれていても、平均的には服装のTPOとかマナーとか、或いは色合わせとか、欧米人のように自然には身についていないと思う。
で家や食事となったら更に中途半端に洋風化していて、でも決して本当の洋式ではないのが大半なので、その為の作法なんて…ないも同然?

…という事は…今の日本のマナーって何なんだ?

フレンチなんて行ってテーブル・マナーを気にするの、苦手だっていう人、結構いるんじゃないですか? 和食の方が気楽でいいやって…

でもフレンチだって、そんなに堅苦しくない「庶民のマナー」がある筈。
そして和食だって、本当は色んな決まりごとがあった筈。

「カルチャー・ギャップ」へのコメントでも書きましたが、「和洋折衷」で日本と外国のいいところを取るっていうの、一見合理的に聞こえて、実は大きな落とし穴があると思う。
それぞれの本質的なところ、いいところを取り入れるのではなく、取り入れ易いところだけを取り入れて自分の都合のいいように解釈してしまう…

…そして取り入れにくいところは、とりあえずうっちゃっておく…つまり勉強しない…

でも、どんなシステムでも、その長所を本当に生かすには、全体を学ばなくてはいけないと思う。(「いいところ」だけではなくて、「悪いところ」も!)
で、最近の日本って、日本の古い価値感が崩れてしまって、欧米のシステムのいいところ? つまり「一部だけ」を取り入れて、結局何がなんだか分からないようなものになってしまってる事も多い気がするのです。

例えばバブル崩壊以来、日本の企業では、従来の年功序列や終身雇用なとどいうシステムに替わって、欧米式の能力主義や評価制度が取り入れられて来た?
でも能力主義というのは、能力のない人を切るだけじゃなくて、能力のある人を抜擢する仕組みがあって初めて機能するし、折角の成果主義も「成果をきちんと評価できる」人がいないと結果が出ない…のです。(「成果主義の壁」

つまり、カルチャー・ギャップって、実は日本と外国のカルチャー・ギャップではなくて、何らかのカルチャー(システム)がある社会と、それが確立されていない社会のギャップなのではないのか? とか、

外国のカルチャーについて知らなくても、日本のカルチャーについて知っていれば、外国人との付き合いって、それなりにできるのではないだろうか? とか、

欧米のマナーを知らなくても、日本のマナーを知っていれば、どこに居てもそれなりの立ち居振る舞いが、自然に出てくるのではないだろうか?

…というような事です。

例のイジメの問題も、最近のテレビの特集番組などを見ると、大人の社会、そして社会全体で同じ賞罰の仕組みが確立していない事が、子供の世界に反映してるのではないかと思われたり…

今の日本の社会、純和風のマナーやシステムは失われ、かといって洋風のマナーやシステムが定着しているわけでもない。何か非常に曖昧なものに律されていて、しかもそれから外れると非常に生きにくいような、変な方向に進んでない?

そして、もしかしたらそれが、「和洋折衷」を選んだ現代日本の進んで来た道なのかも…と、ちょっと悲観的になったり…するのです。何だかうまくまとまりませんが…
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by peque-es | 2007-03-16 23:04 | Japón,Japan,Nippon..
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